【獣医師執筆】病院とドッグフード会社の関係!なぜ市販より高い?
コラム
2020.07.22

【獣医師執筆】病院とドッグフード会社の関係!なぜ市販より高い?

わんちゃんやねこちゃんを飼っていると、気になるのがペットフード。私たち人間と違ってわんちゃんやねこちゃんは食べるものを選べず、飼い主が与えるものを食べて生きていくことになります。

いいものを選んであげたいとネットなどで調べてみると、あまりにも多くのドッグフード があって驚かれることも多いのではないでしょうか?

今回はスーパーで売っているものと病院で売っている製品の違いについて獣医師が個人的な見解も含めてご紹介します(*^_^*)

この記事の監修者

獣医師 匿名
動物病院にて4年間臨床医として勤務していました。内科を中心とした診療を行っており、現在は研究活動も行っています。興味がある分野は感染症、獣医栄養学などです。産休中ですが臨床現場に戻った時のために新しい情報をチェックしています。これらの経験を通じて得た知識などを元に、ペットや飼い主さんのお役に立てるような情報を発信できたらと思います。匿名で執筆させていただいているということもあり、個人的な意見が多く含まれた記事が多いです。いろいろな話題について突っ込んだお話もできたらと思います。

動物病院でのドッグフードの流通経路

輸入ドッグフード

動物病院ではペットフード以外にも動物用医薬品をはじめとした多くの医療周辺器具を必要とするため、製造元から直接製品を仕入れることは多くありません

多くの病院では都道府県知事から販売業許可を受けている「動物用医薬品卸企業」と契約をしてそこを通じて様々な製品を仕入れているのです。

動物病院ではメーカーから直接ドッグフードの仕入れはしない

動物病院で売っているドッグフードと他の製品の違い

犬 はてな (1)

同じ種類のドッグフードでも、ネット販売や量販店と動物病院で購入するのと値段が違うことがあります。

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同じドッグフードでも値段が変わるの?

なぜ同じドッグフードなのに値段が変わるのか不思議に思われている方も多いかと思います。

動物病院では…

  1. 動物用医薬品卸業者を介して仕入れ
  2. 動物用医薬品卸業者は製造元業者・メーカーから直接フードを仕入れ

と、卸業者や企業を通してフードを仕入れています。

飼い主さんの手に渡るまでに製造元、卸業者、動物病院を経ているため同じ製品にもかかわらず価格は他の販売経路と比べて高くなる傾向があります。

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そうか!製造元じゃなくて卸業者を挟むから金額に差が出てしまうのね

卸業者業を挟むので同じ製品でも価格が高くなる

動物病院と普通に売っているものは違うの?

子供と犬

動物病院では、病気のペットに与えることを目的とした療法食と、そうでない総合栄養食の両方が販売されています。

療養食と総合栄養食の違いについて見てみましょう。

療法食とは?動物病院で買わないとダメ?

獣医師 犬

ペットが何らかの病気になった場合、ペットの状態や治療の内容にあわせてフードの栄養成分の量や比率の調整が必要となる場合があります。

この時に使われるのが療法食で、治療の補助的な立ち位置で使います。

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わんちゃんの病気や状態に合わせて使われるのが療法食なのね

療法食は必要な栄養素を過不足なく含んでいる総合栄養食と違い、健康な状態を維持する目的で作られていません。

予防として与えると、必要な栄養の偏りによって健康を害してしまう可能性があるため、専門知識を持った獣医師の指示のもと使用するフードであることが挙げられます。

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療法食は獣医師さんの指示に従って与えないと大変!

病気の状態に合わせて治療初期はこの療法食を使い、再診で状態を見ながら安定してきたら別の療法食に変える、というやり方も多いです。

しかし実際の診察ではそこまでご説明しない場合もあります

飼い主さんによっては一度病院で処方されたあと、自分で調べて療法食を購入してしまう方も多いです。

獣医師の指示なしで療養食を与えることは、個人的にはおすすめできません((+_+))

詳細を明らかにはできませんが、病院でも以前ある病気で療法食を処方し、それからこなくなったペットが数年後別の病気で来院されましたことがありました。

伺うと以前処方した療法食をずっと食べていたとのことでした。

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ペットのために良かれと思って与えた療養食で、別の病気になってしまったのね

この場合、栄養素の偏りが新たに発症した病気のリスクを高めた可能性が高いです。

栄養素の調整がゆるやかな維持用の療法食に変えたり、総合栄養食に変えるタイミングを提案できたのになと残念に思ったことがあります。

また、動物病院で療養食を購入した際フードの変敗などトラブルがあった場合、卸業者を通じて製造元に原因の究明や保証サービスを受けることができるメリットもあります。

療法食は治療の一環として与えるもの

必ず動物病院で獣医師の指示を受けながら与える

総合栄養食とは?動物病院のものと何が違うの?

キッチンにいる犬

総合栄養食はペットに必要な栄養素が過不足なく含まれているもので、ネットや量販店などでも販売されているものです。

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総合栄養食は普通に購入できる物を与えても問題ないのかしら

総合栄養食は基準を満たしていれば「総合栄養食」として表記できるため、ネットや量販店で売られているものでも必要な栄養は摂取できるはずです。

動物病院で総合栄養食を販売する場合、どうしても卸業者を挟むためネットや量販店で購入するより高価になります。

「動物病院専用」は、価格面では勝てないネット販売や量販店と競合するために何らかの「付加価値」を与えていることが多いです。

「動物病院専用」の付加価値

犬 研究

動物病院で購入することで、トラブルがあった場合製造元に内容の確認をすることができます。

普通に購入できる総合栄養食でも必要な栄養素は摂取できますが、「動物病院専用」の総合栄養食はペットの状態に合わせて栄養バランスが調整されています。

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動物病院専用の総合栄養食は栄養バランスが調整されているのね、すごいわ!

例えば避妊・去勢をすると体重が増加傾向になります。

さらにおしっこトラブルのリスクも高まるため、リスクを減らすための栄養素を考慮する必要があります。

ロイヤルカナガンから出ている「動物病院専用Vets Plan ニュータードケア」の例で見てみましょう!

動物病院専用 一般用
・カロリーが低い
・尿トラブル予防
・バランスの良い栄養素配合
・カロリーが低い

一般用のフードがカロリー調整だけなのに対して、動物病院専用はサプリメント的な栄養素も含まれています!

ネットや量販店で購入できるフードにプラスして、動物病院専用ならではの「今後のことを考えた」付加価値がありますね。

動物病院で販売されている総合栄養食は“今は病気ではないけれど普段の生活の中でできるケアをしたい”という目的にはぴったりです(*^_^*)

成分的にも優れていて、何かがあったり疑問点が出た時にも卸を通じて製造元業者に確認ができるので、病院でもおすすめしやすい総合栄養食となっています。

総合栄養食とは必要な栄養素が過不足なく含まれているもの

「動物病院専用」は栄養バランスが調整されているものが多い

普通に買えるフードでも良いものはもちろんある

ドッグフード スーパー

私個人の見解としては、ペットが健康であれば量販店やネット販売などで買える総合栄養食でも十分だと思っています。

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動物病院専用のフードの方が良いんじゃないの?

動物病院専用のフードは成分や原材料、ペットの嗜好性も良いですが高価になってしまいがちです。

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確かに、毎日与えるフードがあまりにも高額だと続けるのは難しいわ

コスパの悪いフードを続けるのは難しいですよね。

なので信頼できるペットフードメーカーで製造されているフードを選んで与えるので十分だと思います。

私も以前は動物病院専用の総合栄養食を与えていましたが、現在は同じメーカーから販売されていてスーパーで購入できる総合栄養食を与えています。

高齢になってきたら病気のリスクが高まるので、その時また動物病院専用のフードにしようかなと思っている程度です。

総合栄養食ならば量販店で売られているもので栄養は足りる

信頼できるペットフードメーカーの物を与えると安心

注意したいドッグフードの選び方

チェック!!

※ここからは獣医師の中でも様々な考えがあるため、獣医師全体の意見を代表するものではなく個人的な意見となります。

「総合栄養食」はわんちゃんに必要な栄養素が過不足なく含まれたフードの事を言います。

しかし、総合栄養食という表記があれば全てのフードが無条件で良いフードか?というと判断が難しいです((+_+))

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栄養素に過不足がないのにだめな場合もあるの?

「総合栄養食」は栄養素が過不足なく含まれているということを示す表記ですが、原材料の質についての基準はないためです。

「総合栄養食」は必要な栄養素が配合されている表記で「原材料の質」ではない!

総合栄養食を出しているメーカーの選び方

犬 研究

様々なフードメーカー(製造元)が特色を打ち出したドッグフードを展開していますが、個人的には

  • 療法食も製造しているかどうか
  • 企業の研究所を持っているかどうか
  • 大手かどうか

に着目してフードを選んでいます。

イラスト1

療法食も製造しているメーカーだと安心なの?

療法食を製造するには
病気や獣医栄養学について深く精通した専門家が必要だからです。

ここから分かるのは…

  • 自分たちで研究所を作り、フードの研究をしている
  • 実際に給与実験などをしている
  • 安全性や効果について検証している

などのフードの品質と安全性に対する企業の真摯さです。

大手かどうかは、多くの人が使っているということは健康被害があれば問題が公になる可能性が高くなると考えているためです。

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大手メーカーで問題が起こればニュースにもなりそうよね

原材料の品質については企業を信じるしかないので、

  1. 療法食も製造している
  2. 企業の研究所で実験や研究を行っている
  3. 大手企業である

上記の3点に注目して自分の家のペットのフードを選んでいます。

安心できるドッグフードメーカーは?

ドッグフード スーパー

「療法食を製造している」「企業の研究所がある」「大手企業である」この3つを満たしたドッグフードメーカーをご紹介します。

国内企業
  • 日清ペットフード
  • ペットライン
  • 日本ペットフード
海外企業
  • マース(ロイヤルカナン)
  • ヒルズ
    (ヒルズコルゲート、サイエンスダイエット)

※上記は一例です

私個人は職場である動物病院で「ロイヤルカナン」や「ヒルズの療法食」をよく処方していました。

治療効果も実感していたので、企業としてある程度信頼できるかと思いこの2つのメーカーの総合栄養食を家のペットには与えています。

もちろん大企業だからと盲目的に信頼するのではなく、自分の知識や経験をフルに使って客観的に判断していくことが最も大切です。

まとめ

ノート

わんちゃんやねこちゃんの健康のためには、良質なペットフードを与えたいですね。ドッグフードも、量販店やネットで普通に買えるものから動物病院で買えるものがあります。

1番の違いは値段と成分!

  • 動物病院で購入できるドッグフードは卸業者を多く介するのでどうしても割高になる
  • 高価になる分付加価値として「栄養素のバランスが調整されている」

動物病院で扱っているドッグフードは「療養食」と「総合栄養食」の2種類!

  • 療養食」は健康維持のためには作られていない
  • 「療養食」を与える時は獣医師の指示に従う必要がある
  • 「総合栄養食」は市販のものを与えても問題ない

総合栄養食を選ぶ時は信頼できるメーカーのものを選ぶと安心!

  • 療法食を製造⇒専門家が必要
  • 研究所で実験⇒安全性や効果について検証している
  • 大手企業⇒問題があれば公になる可能性がある

ネットや量販店で販売されているドッグフードと、動物病院で販売されているドッグフードは同じものでも「値段」と「成分」が違うことが分かりましたね!

「総合栄養食」は信頼できるメーカーのものであれば、動物病院で購入できるものにこだわらず与えても問題ないと考えます。

しかし、「療養食」は間違った与え方をするとわんちゃんが別の病気になる可能性もあります。療養食を与える時は、獣医師の指導のもと与えるようにしてあげてくださいね。

  • 同じドッグフードでも動物病院は割高
  • 「療養食」は獣医師の指示に従って与える
  • 「総合栄養食」は信頼できるメーカーのものなら動物病院で購入したものでなくても問題ない

ABOUT ME

獣医師 匿名
動物病院にて4年間臨床医として勤務していました。内科を中心とした診療を行っており、現在は研究活動も行っています。興味がある分野は感染症、獣医栄養学などです。産休中ですが臨床現場に戻った時のために新しい情報をチェックしています。これらの経験を通じて得た知識などを元に、ペットや飼い主さんのお役に立てるような情報を発信できたらと思います。匿名で執筆させていただいているということもあり、個人的な意見が多く含まれた記事が多いです。いろいろな話題について突っ込んだお話もできたらと思います。