目次
成分表示を見る前に知っておくべきこと
まずは、成分表示をみる前に知っておくべきことについて紹介していきます!
ドッグフードのパッケージ表示
ドッグフードのパッケージは消費者庁の「ペットフードの表示に関する公正競争規約」に基づき、栄養成分表示については「農林水産省消費・安全局長の定める飼料分析基準又はこれに準ずる国際的検査基準」によって、表示が義務づけられています。(※以下画像参照)
ここで重要なのは、上記の成分以外の成分表示はしなくてもいいということです。
できれば確認しておきたい必須脂肪酸(オメガ3・6脂肪酸)や、リン、カルシウムなどの表記は義務づけられていないため、すべての成分が詳細に表示されているフードとそうでないフードがあるということもおさえておきましょう。
総合栄養食の成分基準はAAFCOに基づく
総合栄養食とは、毎日の主要な食事として与えることを目的に、そのフードと水のみで健康を維持できる栄養バランスが整っているペットフードのことです。
日本の総合栄養食の成分基準は、ペットフード公正取引協議会によってAAFCO(全米飼料検査官協会)と呼ばれるアメリカの数値基準を参考に定められ、そのペットフードが適応する成長段階(ライフステージ)が表記されています。
以下のように表記があるフードはAAFCOの総合栄養の各成長段階に適したフードといえます。
■適応する成長段階の表記
・幼犬/成長期またはグロース
・成犬期/維持期またはメンテナンス
・妊娠期・授乳期
・全成長期段階/オールステージ
総合栄養食は日本の基準に基づいた表記なので、海外製造のドッグフードには表記がない場合があります。
しかし、表記がなくともそれぞれの原産国の基準をクリアしている場合がほとんどです。
記載がなく、愛犬のライフステージに適応しているか不安な場合はHPや問い合わせし確認しましょう。
各国の安全基準について知りたい方は、「Q5.各国のペットフードの安全確保のための法律は?」をチェックしてください。
また、AAFCOの成分基準は「乾物量(DM値)=水分を含まない数値」で定められているので、表記されている成分をそのままAAFCOの基準と照らし合わすことができません。
ドライフードの場合はそこまで大きく数値が変わりませんが、ウェットフードの場合は水分を多く含めるため、そのままの数値を読まないように注意しましょう。
詳しい計算方法は「Q3. AAFCOの乾物基準値の計算方法は?」にて紹介しています。
成分表示と原材料はそれぞれ分かることが違う
ここではと「栄養成分表示」と「原材料」でわかることについて紹介します。
それぞれの役割を理解することで、愛犬に合ったフードかどうかを判断しやすくなりますよ。
■「栄養成分表示」でわかること
・ライフステージに合っているか
・体型に合っているか
・悩みに合っているか
・食欲・食いつきに合っているか
(嗜好性が高いか)
■「原材料」でわかること
・品質や安全性(添加物の種類)
・愛犬の好みの匂い(肉や魚の種類)
・太りやすいか、ダイエット向きか
・アレルギー食材の有無
・悩みや病気の予防改善への効果
上記からわかるとおり、どちらが大事というわけではありません。それぞれの見るべきポイントを理解した上で、愛犬にあっているかを判断することが大切です。
さらに「原材料」では、何の原材料がどのような状態で使われているかはわかりますが、どのくらい使われているかは正確にわからないため、「原材料」と「栄養成分表」とセットで確認することが重要なのです。
次章では、栄養成分表示の各項目についてわかりやすく紹介します。
先に、成分表の見るべきポイントについて知りたい人は、「愛犬に合った成分かチェック!成分表の見るべきポイント」をチェックしてくださいね。
栄養成分表示の項目について
ドッグフードの栄養成分表示には、5大栄養素である「タンパク質」「繊維質」「脂質」「水分」「灰分」の表記が義務付けれられています。
そのほか、「カロリー」や「オメガ」「ビタミン」など様々な項目が表記されています。
それぞれの役割について紹介していきますね!
【必須表示項目(5大栄養素)】
①タンパク質
②繊維質
③脂質
④水分
⑤灰分
【自由表示項目】
⑥栄養添加物(ビタミン・アミノ酸など)
⑦カロリー
⑧必須脂肪酸(オメガ3・6)
①タンパク質
タンパク質は、犬の体(全ての組織、細胞、筋肉、腱、骨、爪、被毛、各臓器など)の成長や発達にとって重要で、健康的な体を作るためには大切な栄養素です。多くの場合は、肉や魚、穀物などに含まれるタンパク質から必要なタンパク質を体内に取り込んでいます。
高タンパクなフードは、免疫力を高め病気に負けない体づくりに適しています。
ただし、腎臓や肝臓の機能不全、アレルギー体質の場合は、ある程度控えたほうが良いこともあります。
②繊維質
繊維質は、消化器官中の水分量を適正に保ち善玉菌が活性化させ、便通を刺激し便を固めるというメリットもあるため、下痢や便秘などのお腹トラブルが多めの子の腸内環境をサポートできる栄養素といえます。
繊維質の中でも、不溶性食物繊維が多く含まれるフードは胃や腸においてかさを増加し、満腹感を保つことができるため、肥満用フードなどで繊維質を増量しているフードもあります。
もう一方で水溶性食物繊維には、脂質の吸収を抑制する働きがあります。
③脂質
脂質の主な役割は、エネルギー源になるほか体温維持や臓器の保護、細胞膜・血液・ホルモンなどの構成、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収のためにも必要な栄養素です。また、皮膚の健康を維持する必須脂肪酸(オメガ3・6)をふくんでいます。
脂質が増えると一般的には嗜好性が高まるため、食いつきにも期待ができます。
脂質は主に肉や魚のほかに、乳製品などの動物性脂肪や、大豆などの脂質を多く含む植物性由来の原材料からも供給されるものもあります。
④水分
犬の体の約60〜70%は水分でできているため、栄養素としての働きはありませんが、生命を維持するために重要な成分で以下のような役割があります。
- 血液や唾液、涙などの体液をつくる
- 体温調節
- 食べ物の消化・栄養の運搬
- 老廃物の運搬・排出
ドライフードにも水分は含まれていますが、それだけで必要量を摂取することはできないため、新鮮な水を常に飲めるような環境を用意してあげることが大切です。
以下が、1日に必要な水分量の計算方法です。
■1日に必要な水分量計算式
…体重の0.75乗×132
例)体重5kgの場合
5×5×5=125√√×132=441
計算式は√計算ができる電卓を使用する必要があるため、体重別の水分量を表でまとめました。
体重 | 1kg | 2kg | 3kg | 4kg | 5kg | 7kg | 8kg | 9kg | 10kg | 11kg | 12kg | 13kg | 14kg | 15kg | 16kg | 17kg | 18kg | 19kg | 20kg |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
水分量 | 132ml | 221ml | 300ml | 373ml | 441ml | 568ml | 627ml | 685ml | 742ml | 797ml | 851ml | 903ml | 955ml | 1,006ml | 1,056ml | 1,105ml | 1,153ml | 1,201ml | 1,248ml |
また、ドッグフードは以下の水分保有率によって分類されます。
・ドライフード…10%以下
・セミモイスト…25~35%程度
・ウェットフード…70%以上
水分量が多いフードは冷凍や冷蔵での保存が必要となるものもあるため、保存方法には十分注意しましょう。
⑤灰分(5大栄養素)
灰分は、カルシウム、鉄、ナトリウム、マグネシウム、リン、カリウムなどのミネラルのことをいいます。
特定のミネラルを多く与えてしまうと、他のミネラルを阻害することがあるため、ミネラルにはバランスの良さが大切です。
以下が灰分として表記される成分です。
■主な灰分(ミネラル)
・カルシウム(Ca)
…主に骨や歯の構成成分。筋肉、神経が正常な働きをするために欠かせないミネラル
・リン(P)
…主に骨や歯の主成分。細胞内に存在し、体を維持するために欠かせないミネラルで
・カリウム(K)
…主に神経伝達に重要な役割を果たし、身体を維持するために欠かせないミネラル
・ナトリウム(Na)
…主に体内の細胞外液に存在している身体を維持するために欠かせないミネラル
・マグネシウム(Mg)
…主に骨に存在している体内の身体を維持するために欠かせないミネラル
・鉄(Fe)
…体内でヘモグロビンやミオグロビンを合成するために必要なミネラル
・銅(Cu)
…体内で作られる多くの酵素の構成成分。鉄の吸収やヘモグロビンの合成を助ける働きがあるミネラル
・亜鉛(Zn)
…主に酵素の成分や蛋白質の合成に利用され、身体を維持するために欠かせないミネラル
■その他の灰分
イオウ(S)/ 塩素(Cl)/ クロム(Cr)/ コバルト(Co)/ セレン(Se)/ マンガン(Mn)/ モリブデ(Mo)/ ヨウ素(I)
⑥栄養添加物(ビタミン、アミノ酸)
栄養添加物は、ビタミンやアミノ酸などの健康維持に必要な栄養素を調節・補完するための添加物です。
ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類など数種類あり、それぞれ幅広い役割を果たします。
以下が、主な栄養添加物の種類です。
■主な栄養添加物
・水溶性ビタミン
…ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC、リボフラビン、ビオチン
・脂溶性ビタミン
…ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
・アミノ酸
…L-カルニチン
・その他
…タウリン
栄養添加物の種類は原材料名に記載されていますが、含有量の表記は義務付けられていないため、記載のあるフードとないフードがあります。
ただ、表記がないからといってダメだというわけではありませんが、できるだけ詳しく表記しているほうが生産主のこだわりを感じられるという安心感があります。
⑦カロリー
カロリーとは、エネルギーの単位で愛犬の体重やライフステージに合ったフードの量を計算するのに必要な数値となります。
愛犬が必要なエネルギー量を摂取しないといけないことはもちろんですが、必要量以上を与え続けると肥満に繋がるため、健康的な体型維持のためには、愛犬の体重とライフステージに適したカロリー摂取が大切です。
以下が、1日に必要なカロリーの計算式です。
■1日に必要なカロリー計算式
…体重の0.75乗×70×活動係数(ライフステージ)
例)5kgの成犬去勢済み
5×5×5=125√√×70×1.6=374kcal
計算式は√計算ができる電卓を使用する必要があるため、体重別の1日に必要なカロリーを表でまとめました。
1kg | 2kg | 3kg | 4kg | 5kg | 6kg | 7kg | 8kg | 9kg | 10kg | 11kg | 12kg | 13kg | 14kg | 15kg | 16kg | 17kg | 18kg | 19kg | 20kg | |
4ヶ月まで | 210kcal | 351kcal | 477kcal | 591kcal | 702kcal | 804kcal | 903kcal | 996kcal | 1089kcal | 1179kcal | 1266kcal | 1353kcal | 1437kcal | 1518kcal | 1599kcal | 1680kcal | 1758kcal | 1833kcal | 1911kcal | 1986kcal |
4ヶ月~成犬 | 140kcal | 234kcal | 318kcal | 394kcal | 468kcal | 536kcal | 602kcal | 664kcal | 726kcal | 786kcal | 844kcal | 902kcal | 958kcal | 1012kcal | 1066kcal | 1120kcal | 1172kcal | 1222kcal | 1274kcal | 1324kcal |
成犬 (避妊/去勢なし) |
126kcal | 210.6kcal | 286.2kcal | 354.6kcal | 421.2kcal | 482.4kcal | 541.8kcal | 597.6kcal | 653.4kcal | 707.4kcal | 759.6kcal | 811.8kcal | 862.2kcal | 910.8kcal | 959.4kcal | 1008kcal | 1054.8kcal | 1099.8kcal | 1146.6kcal | 1191.6kcal |
成犬 (避妊/去勢済み) |
112kcal | 187.2kcal | 254.4kcal | 315.2kcal | 374.4kcal | 428.8kcal | 481.6kcal | 531.2kcal | 580.8kcal | 628.8kcal | 675.2kcal | 721.6kcal | 766.4kcal | 809.6kcal | 852.8kcal | 896kcal | 937.6kcal | 977.6kcal | 1019.2kcal | 1059.2kcal |
肥満気味の成犬 | 77kcal | 128.7kcal | 174.9kcal | 216.7kcal | 257.4kcal | 294.8kcal | 331.1kcal | 365.2kcal | 399.3kcal | 432.3kcal | 464.2kcal | 496.1kcal | 526.9kcal | 556.6kcal | 586.3kcal | 616kcal | 644.6kcal | 672.1kcal | 700.7kcal | 728.2kcal |
減量が必要な成犬 | 70kcal | 117kcal | 159kcal | 197kcal | 234kcal | 268kcal | 301kcal | 332kcal | 363kcal | 393kcal | 422kcal | 451kcal | 479kcal | 506kcal | 533kcal | 560kcal | 586kcal | 611kcal | 637kcal | 662kcal |
老犬 (避妊/去勢なし) |
98kcal | 163.8kcal | 222.6kcal | 275.8kcal | 327.6kcal | 375.2kcal | 421.4kcal | 464.8kcal | 508.2kcal | 550.2kcal | 590.8kcal | 631.4kcal | 670.6kcal | 708.4kcal | 746.2kcal | 784kcal | 820.4kcal | 855.4kcal | 891.8kcal | 926.8kcal |
老犬 (避妊/去勢済み) |
84kcal | 140.4kcal | 190.8kcal | 236.4kcal | 280.8kcal | 321.6kcal | 361.2kcal | 398.4kcal | 435.6kcal | 471.6kcal | 506.4kcal | 541.2kcal | 574.8kcal | 607.2kcal | 639.6kcal | 672kcal | 703.2kcal | 733.2kcal | 764.4kcal | 794.4kcal |
また、フードによっては、ざっくりとした給餌量しか記載していない場合があります。
さらに詳しい給餌量や与え方に関しては、「【獣医師監修】ドッグフードの正しい与え方!」も参考にしてください!
⑧必須脂肪酸(オメガ3・6)
脂質に含まれる必須脂肪酸は基本的には体内では合成できないため栄養素で、不足時は食事やサプリメントから補う必要もあります。
必須脂肪酸には大きく分けて「オメガ3脂肪酸」と「オメガ6脂肪酸」があり、それぞれ以下のような役割があります。
■必須脂肪酸の主な役割
・オメガ3脂肪酸(ALA・EPA・DHAなど)
…抗炎症作用がある。皮膚や被毛の健康を助ける栄養素
・オメガ6脂肪酸(リノール酸など)
…オメガ3との同時摂取がない場合炎症を起こす。皮膚や被毛の健康を助ける栄養素
ちなみにオメガ3・6の理想的なバランスは、現在の研究結果では明らかにはなっていません。
オメガ6脂肪酸は大抵のフードに含まれているためそれぞれのバランスついては以下を参考に判断しましょう。
■オメガ3・6のバランスについて
【理想的!】
オメガ3>オメガ6 or オメガ3=オメガ6
…健康的な美しい皮膚と被毛と免疫力の向上に効果的
【配慮している!】
オメガ3・オメガ6が配合
…健康的な皮膚や被毛の維持に必要な必須脂肪酸のバランスに配慮している
なおオメガ3・6の表記は脂質として表記されるため必須表示項目ではありません。
表記していないからといって配合されていないわけではないので、あくまで参考程度にチェックしてくださいね!
何%で高タンパク・低カロリー?成分の数値基準
ドッグフードの栄養成分表示において、何%以上が高カロリー、何%以下が低カロリーなどの数値基準は明確に定められていません。
そのため、一般的なフードの中での高い数値、低い数値の基準をまとめました。ぜひ参考にしてみてください!
栄養成分 | タンパク質 | 脂質(脂肪) | 繊維質 | カロリー |
高い | 27%以上 | 16%以上 | 10%以上 | 400kcal以上 |
高め | 25%〜27% | 14%〜16% | 5%〜10%未満 | 380~400kcal |
普通 | 22%〜25% | 12%〜14% | 3%〜5%未満 | 360~380kcal |
低め | 20%〜22% | 10%〜12% | 2%〜3%未満 | 340~360kcal |
低い | 20%未満 | 10%未満 | 2%未満 | 340kcal未満 |
成分表の見るべきポイント!愛犬にあった成分かチェックしよう
ここでは、栄養成分表示を見て愛犬に合ったフードかどうかを判断するポイントを解説していきます。
■成分表の見るべきポイント
・ライフステージに合っているか
【子犬】成長期に必要な成分を!
【成犬】体系や悩み、食欲に合わせよう!
【老犬】老化に配慮した成分を!
【去勢・避妊後】太りやすいため体型維持を!
・体型に合っているか
【痩せ気味・BCS2】
【太り気味・BCS4】
・悩みに合っているか
【下痢・便秘などのお腹トラブルがある】
(涙やけ・口臭)
【毛並みが悪い・皮膚トラブルがある】
・食欲・食いつきに合っているか
(嗜好性が高いか)
愛犬の【ライフステージ】に合った成分かチェック!
「総合栄養食の成分基準はAAFCOに基づく」でも紹介したとおり、対応するライフステージはパッケージの表記で確認することができます。
しかし、ライフステージによっては特に配慮したい成分もあるため、AAFCOの「成長期基準」と「成犬期基準」をふまえた上で以下のポイントも参考にしてください。
【子犬の場合】成長期に必要な成分を!
成長期の子犬は、健康的に体を大きくし、少量で多くの栄養を摂取する必要があります。
子犬に必要な栄養素を定めた以下のAAFCO成長期基準を確認しましょう。
タンパク質 | 脂質(脂肪) | カルシウム | リン | カリウム | ナトリウム |
22.5%以上 | 8.5%以上 | 1.2%以上 | 1.0%以上 | 0.6%以上 | 0.3%以上 |
なお、子犬にとって特に配慮すべき成分は「タンパク質・脂質・カルシウム」です。それぞれが重要な理由は以下の通りです。
▼高タンパク質…22.5%以上がおすすめ
タンパク質は、消化器官が十分に発達していない子犬でも消化吸収しやすく、腸内環境を良好に保つことができます。また、健康な筋肉や皮膚被毛を育み、体のあらゆる組織を構成しているため成長期の子犬にとっては重要な栄養素です。
▼脂質…8.5%以上がおすすめ
脂質は、子犬にとって消化が良くエネルギーとして利用されます。また、細胞やホルモンなど体を構成する成分となるため体の成長に役立ちます。
▼カルシウム…リンとの割合が1:1がおすすめ
カルシウムは、骨や歯などの体を構成する成分となるため体の成長に役立ちます。また、
細胞や血液中で神経の働きや筋肉の収縮に役立つ重要な栄養素です。
また、AAFCOが示すカルシウム・リンの適正比が1:1~2:1なので、そちらも合わせてチェックしてみてください。

【成犬の場合】体系や悩み、食欲に合わせよう!
結論から言うと成犬のわんちゃんは、年齢によって特段配慮する成分はありません。なぜなら、ほとんどが以下のAAFCOの維持期基準(成犬期基準)をクリアしているからです。
タンパク質 | 脂質(脂肪) | カルシウム | リン | カリウム | ナトリウム |
18.0%以上 | 5.5%以上 | 0.5%以上 | 0.4%以上 | 0.6%以上 | 0.08%以上 |
そのため成犬の場合は、去勢や避妊後の食欲増加、肥満、痩せ気味などの体型維持や、それぞれのワンちゃんが抱える悩みに合わせた成分を選びましょう。

【老犬の場合】老化に配慮した成分を!
シニア期を迎えた老犬は、消化吸収能力や免疫力の低下、食欲の低下など様々な不調もあらわれ始めます。
そのため、様々な病気や症状にも配慮したフードを選ぶ必要がありますが、AAFCOに老犬期の栄養基準がありません。
そのため以下の成分に配慮し、フードを選びましょう。
※すでに疾患があるわんちゃんは獣医師と相談の元、療養食も検討しましょう。
▼灰分…できるだけ低めがおすすめ
老犬になると、脱水になりやすいため様々な種類の灰分(ミネラル)を体内で吸収し不要なものは体外に排出するというバランスが取りづらくなるため、血圧が乱れたり、貧血になるなどの体の不調に繋がります。
一定量は必要なので、迷った際は出来るだけ灰分の数値が低いものを選びましょう。
▼オメガ3・オメガ6…配合
必須脂肪酸であるオメガ3・6には老犬がかかりやすい疾患の改善や、健康的な容姿の維持、免疫力の向上に効果的です。
ただしほかの栄養素に比べ脂質は消化に時間がかかるため、消化能力の落ちてきた老犬には取りすぎに注意が必要です。
▼タンパク質(脂質)…健康状態に合わせる
・まだまだ元気なシニア初期
タンパク質…25%以下がおすすめ
まだまだ元気に見えてもシニア期になったばかりの老犬は、代謝が落ちる、運動量が減る(睡眠時間が増える)などが原因で肥満になりやすいです。
そのため、タンパク質、脂質が高すぎないフードがおすすめです。
また、成犬期と比べ必要なエネルギー量も7〜8割減少するため、給餌量の見直しは必須です。
・食欲が落ちてきたシニア期
タンパク質…22.5%以上がおすすめ
顎や下の動きに衰えが見られ、食欲が落ちてきたシニア犬には、少量でたくさんの栄養を取る必要があります。
そのため、タンパク質や脂質が低すぎず、高めのフードを選びましょう。

【去勢・避妊後】太りやすいため体型維持を!
去勢・避妊後のわんちゃんは代謝が落ちたり、食欲がアップすることで太りやすい傾向があります。
健康的な体型を維持するためにも、以下のような成分をチェックしましょう。
▼高タンパク質…22.5%以上がおすすめ
▼低脂質…12%以下がおすすめ
▼カロリー…360kcal以下がおすすめ
タンパク質を摂取することで、筋肉が育ちやすくなるため、代謝が上がり、痩せやすい体質へと導きます。
高タンパクなフードほど、脂肪も多くなりがちでが、使用するタンパク質(肉や魚)の種類によってカロリーを抑えられるため、高タンパク低脂質のタンパク質源(鶏肉、馬肉、鹿肉など)のフードを選ぶのもポイントです。
▼繊維質…5%以上がおすすめ
繊維質には消化器官中の水分量を適正に保ち、腸内環境をサポートする効果があります。
さらに、脂質の吸収を抑制し、満腹感を得るのに有効であるため、去勢・避妊後の食欲が旺盛なワンちゃんにおすすめです。
愛犬の【体型】に合った成分かチェック!
愛犬の体型に合ったフードを成分かとチェックする前に、愛犬の現状体型を把握するようにしましょう!
体型のチェックは、愛犬の体を触って確認する【BCS(ボディーコンディション)スコア】で確認することができます。
また今回は、BCS2・BCS4の体型に合った成分について紹介します。
なお、BCS1・BCS5のわんちゃんの体型に関しては、病気をともなっていることも多いため、療養食を検討するなど、必ず獣医師の診察のもと体重の増量や減量が必要です。
成分だけではなく、原材料やカロリーなども参考に改善に適したフードを選んであげてください。
【痩せ気味・BCS2】少量でも多くの栄養を!
痩せ気味の場合は効率的に太らせる必要があるため、以下のような成分をチェックしましょう。
▼高タンパク…25%以上がおすすめ
▼高脂質…14%以上がおすすめ
▼高カロリー…380kcal以上がおすすめ
タンパク質は主に健康的な体をつくるために必要不可欠な成分であり、脂質は主にエネルギー源となるため、上記のようなフードではそれらの栄養素を少量で摂取することができます。
さらに、鶏のもも肉や牛肉、豚肉のような比較的カロリーが高い動物肉を多く使用したドッグフード、または消化吸収しやすい魚を原材料にしたものを選ぶとなお良しです。
▼繊維質…できるだけ低めがおすすめ
繊維質は、腸内環境のサポートする効果や満腹感を得るというメリットがありますが、たくさん食べてほしい痩せ気味のわんちゃんにとって満腹感を早く得ることはデメリットとなります。
そのため高すぎず適度に配合されているフードがおすすめです。

【太り気味・BCS4】高タンパク・低脂質のフードを!
太り気味の場合は効率的に痩せさせる必要があるため、以下のような成分をチェックしましょう。
▼高タンパク質…22.5%以上がおすすめ
▼低脂質…12%以下がおすすめ
▼低カロリー…340kcal以下
タンパク質を摂取することで、筋肉が育ちやすくなるため、代謝が上がり、痩せやすい体質へと導きます。
しかし、高タンパクなフードほど、脂肪も多くなりがちです。使用するタンパク質(肉や魚)の種類によってカロリーを抑えられるため、「鶏肉、馬肉、鹿肉」などの高タンパク低脂質のタンパク質源のフードを選ぶこともポイントです。
▼繊維質…5%以上がおすすめ
繊維質には、脂質の吸収を抑制し、満腹感を得るのに有効なため食欲が旺盛なワンちゃんにおすすめです。また、消化器官中の水分量を適正に保ち、腸内環境をサポートする効果もあります。

愛犬の【悩み】に合った成分かチェック!
「便秘がち…」「毛がボサボサ…」など、様々な悩みを抱えている飼い主さんがいると思います。
これから紹介する悩みは、成分表からより効果があるかを判断することができますが、合わせて原材料もチェックすることもおすすめです。
また、ごはんだけでの改善は難しい場合もあります。すでに疾患がある場合は、自己判断せず獣医師に相談のもとごはんを選びましょう。
下痢・便秘などのお腹トラブルがある
お腹トラブルを抱えている場合は、特に以下の成分をチェックしてください。
▼繊維質…5%以上がおすすめ
繊維質には、消化器官中の水分量を適正に保ち、腸内環境を改善や消化のスピードを緩やかにする、便通を刺激し便を固める効果があります。
下痢(軟便)、便秘、などお腹トラブルが多い子には特に多く入っていてほしい栄養素です。
▼タンパク質…22.5%以上もしくは主原料
タンパク質は限りなく肉食に近い雑食の犬にとって消化吸収がしやすいため、消化不良をおこしづらく腸内環境を健康に保つことができます。
加えて以下の原材料についてもチェックしてみてくださいね!
・腸内サポート成分
…乳酸菌、オリゴ糖、ビール酵母など
・消化しやすい炭水化物
…サツマイモ、ジャガイモ、豆類など

また、腸内環境が良好になることによって、口臭、涙やけなどの改善にもアプローチすることができます。
詳しくは以下の記事で紹介しています。


毛並みが悪い・皮膚トラブルがある
毛並みが悪い、皮膚トラブルがあるわんちゃんは、特に以下の成分をチェックしてください。
▼オメガ3・オメガ6…配合
わんちゃんの美しい被毛を生成するのに欠かせない必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、体内で生成できないため、必ず普段の食事やサプリメントから摂取する必要があります。
オメガの理想的なバランスに関しては、「オメガ3とオメガ6のバランスについて」で紹介しています。
加えて以下のオメガ3脂肪酸を多く含む原材料についてもチェックしてみてください!
・オメガ3脂肪酸を多く含むの油
…サーモンオイル 、亜麻仁油、月見草オイル、タラ油、サンフラワーオイルなど
▼タンパク質…22.5%以上もしくは主原料
タンパク質には、皮膚や被毛など体のあらゆる組織を構成しているため、主原料としてできだけ多く配合されているとより効果的です。
また、限りなく肉食に近い雑食の犬にとって消化吸収がしやすいため消化不良を起こしにくく栄養が皮膚や被毛に行き渡るというメリットもあります。


愛犬の【食欲・食いつき】に合ったフードかチェック!
一般的に、脂質が高いフードは嗜好性が高くなると言われています。
そのため、食いつきが悪い、食欲がないわんちゃんは、嗜好性を高めることで食欲を湧かせてあげるのに効果的です。
以下の成分数値をチェックしてみてください。
▼脂質…12%以上がおすすめ
安価なフードの場合、匂いをきつくすることで嗜好性を高めるためにエキス・パウダー・油などを添加している商品もあります。
しかし、原材料の品質がよければ、上記のような添加物を入れる必要はありません。
さらに無意味な人工添加物の過剰摂取は犬の胃腸に負担をかけ、消化を妨げる可能性もあります。
最近では、オーガニックや無添加のフードでも嗜好性が高いフードもたくさん販売されていますよ。
下記の記事もチェックしてみてくださいね!

【Q&A】ドッグフードの成分のよくある疑問を解決!
ここからは、ドッグフードの栄養成分に関するよくある疑問について獣医師監修のもとお答えしていきます!
ドッグフードの成分に関しては、研究結果や調査データによって様々な情報がネット上に存在しています。「結局どれを信じたらいいの!?」とお悩みの飼い主さんはぜひ参考にしてください。
Q1.成分表示の前にある「粗」って何?
A.成分表示の前に「粗」という文字は「おおよそ」という意味です。
タンパク質の前に表記されている「粗」は、定量する際にタンパク質のほか、アミン、核酸、硝酸塩などの窒素が定量されるため、多少の誤差を含む、「おおよそ」という意味で、「粗」が付きます。
タンパク質以外の粗脂肪、粗繊維、粗灰分などの場合、成分そのものの量を測定することが難しく、その成分のおおよその目安となる物質を測定することとなり、正確な数値を指すことができないため「粗」と付きます。
「おおよそ」の数値だと不安に思う方もいると思いますが、これは人間の食品分析方法と大きな違いはなく、質に問題があるということではないので安心してください。
Q2.成分表示の前にある「%以上、%以下」って何?
A.成分を保証する値で「これ以上含まれていることを保証します」または「これより少ないことを保証します」という意味です。
正確な数値ではないので不安になる人もいるかと思いますが、これは、わんちゃんに必要な栄養成分の基準を定めるAAFCOの最低または最高許容量※1を保証する意味で「%以上」「%以下」と表示されています。
また、タンパク質や脂質はわんちゃんの健康維持のために一定量以上必要とされているため「%以上」と表示をされ、それ以外の粗繊維、灰分、水分は多く含まれすぎると栄養低下のおそれがあるため「%以下」と表示されています。
※1体に害を及ぼさないだろうと推定されるある物質の最大限度の量
Q3.乾物基準値の計算方法は?
A.計算式は【成分値(タンパク質、繊維質、脂質)÷(100-水分)×100】で求めらめます。
乾物計算値とは、簡単にいうと水分の割合を抜いた数値です。
下記の例も参考にしてください。
■ドライフードA:水分12%以上の場合
成分 | 表示成分 | 乾物値 |
粗タンパク質 | 30%以上 | 34.09%以上 |
粗脂質・脂肪 | 17%以上 | 19.3%以上 |
粗繊維 | 5%以下 | 5.68%以下 |
■ウェットフードB:水分74.5%(最大)の場合
成分 | 表示成分 | 乾物値 |
粗タンパク質 | 10.5%以上 | 41.18%以上 |
粗脂肪 | 8%以上 | 31.4%以上 |
粗繊維 | 1.0%以下 | 3.92%以下 |
Q4.日本のペットフードに関する法律はゆるいって本当?
A.近年、様々な法律の改正により製造基準や販売基準など見直されています。
日本では、ペットフードに関する法律として、
・農林水産省による「ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)」
・消費者庁による「ペットフードの表示に関する公正競争規約」
が定められています。
なぜ日本の基準は諸外国と比べ「ゆるい」と言われるのか?
それは、ペットフードに対する歴史が諸国と比べ浅く、ペットフードに対する品質や安全性など確保する法の制定が遅かったため、基準に対しても諸国と劣る部分があるからです。
例えば、原材料に表記されている添加物に関して、2007年の6月に「ペットフードの表示に関する公正競争規約」が改訂されるまで必須表示項目ではなかったのです。
さらに、原材料に含まれる添加物の表示は任意となっています。
そのため、原材料に「かにかま」が使用されており、その「かにかま」に添加物が使用されていたとしても、その添加物表記は任意となるのです。
他にも、アメリカでは「フレッシュミート=肉」「ミートミール=可食部のみでつくられた肉紛」など配合される原材料の表記が法律で定められているのに対し、日本には原材料表記の表現を統一するような決まりはありません。
決まりがないということは、食用にできないような鶏の部位を使用したフードを「チキン」と表記して販売するメーカーがいる可能性がゼロとは言えないのです。
とはいえ近年では、繁殖業者に対する数値規制や、犬の食用を禁ずる要望書の提出など、様々なペットに関する法改正への動きがあるため、これからペットフードに対しても法改正があるかもしれませんね。
Q5.各国のペットフードの安全確保のための法律は?
A.様々な法規制・法規制以外の取り組みによって定められています。
以下で紹介している国々は、「ペットフード先進国」と呼ばれ、世界でも有名な品質の高いフードを多く製造している国々でもあります。
各国の法規制をみてわかる通り、これらの国ではペットに対する考え方が進歩的で、ペットやペットフードに関する厳しい法律が定められています。
残念ながら、日本は先進国の仲間入りができていないのが現状です。
近年では、法律の改正も行われつつあるため、遠い将来日本も先進国の仲間入りとなるといいですね…。
■アメリカ
■イギリス
■オーストラリア
■カナダ
■スイス
■スウェーデン
■ドイツ
・ペットフードに合成添加物を使用しない、遺伝子組換えの食材を使用しない
■ニュージーランド
ニュージーランドのペットフードに関しての法律は、今回の調査では見つけられませんでした。
しかし、殺処分はしない・マイクロチップの装・約70%の家庭が犬を飼っているなどペットに関する国民の意識は高く、クオリティの高いフードも数多く販売されています。
品質を保持することは、ニュージーランドの国民にとって当然のことなのかもしれませんね。
詳しくは「ドッグフードの原産国で一番安全な国はどこ?法律と習慣を徹底調査!」でも紹介しています。
まとめ
今回は、飼い主さんが安心して、愛犬に合った成分のドッグフードが選べるよう、ドッグフードの成分項目から、成分に関する法規制など紹介しました。
もう一度、愛犬に合った成分かチェックしたい人は、以下の見るべきポイントからチェックしてください。
・ライフステージに合っているか
【子犬】成長期に必要な栄養成分を!
【成犬】体系や悩み、食欲に合わせよう!
【老犬】老化に配慮した成分を!
【去勢・避妊後】太りやすいため体型維持を!
・体型に合っているか
【痩せ気味・BCS2】
【太り気味・BCS4】
・悩みに合っているか
【下痢・便秘などのお腹トラブルがある…】
(涙やけ・口臭)
【毛並み悪い…皮膚トラブルがある…】
・食欲・食いつきに合っているか(嗜好性が高いか)
成分について、詳しく知れば知るほどドッグフード選びが楽しくなりますよ!
さらに、ドッグフードについて詳しく知りたい方は「【最新版】ドッグフードの原材料の全て|安全性から素朴な疑問まで徹底解説」もチェックしてくださいね!